今シーズンは、プレイヤーとして高い可能性を持つ子どもたちがチームに多くいます。このような状態の時に、目の前の勝ち負けに囚われる指導は、その子たちが持つ可能性をしぼませてしまうことにつながると私は思います。そして、このようなチーム状況は能力の開発がゆっくり始まる子どもたちと距離が出来る形にもなってしまいます。私たち指導者は、このような時にこそ大事な土台作りにしっかり取り組み、能力の開発を促す様々な取り組みをしなければいけないと思います。(^-^)
その一つの取り組みとして、子どもたちにフィジカルテスト・スキルテストを行い、自分の能力を数値化したものを意識させ、練習時にも映像化したものをすぐに確認させ個々の力を伸ばすきっかけとしています。さらに、バスケットボールテスト(ルール・セオリー等)の準備をして、プレイヤーとしてのIQレベルを確認する取り組みも準備しています。体力を上げる修練を重ね、勝つための戦術を実践するためのスキルを個人個人に徹底させる指導をすれば、この世代の子どもたちは結果を出しやすいかもしれません。しかし、私はそのような指導はこの育成の世代にふさわしいとは思いません。それは、能力の開発がゆっくりされていくタイプの子どもたちを置き去りにしていく形になるからです。
1950年代から1970年代にかけて活躍され、世界選手権始め数々のタイトルを獲得した荻村伊知郎さんという方は、現役引退後に武蔵野の地でクラブチームを作り、部活動全盛の時代にクラブチームから世界チャンピョンを育て上げました。その指導の根幹は、ジュニア期から目の前の勝ち負けに決して囚われないようにしっかり土台作りをする事でした。荻村さんは、日本だけでなく国際卓球連盟会長として様々な国の育成普及にも関わり、スポーツを通した平和活動にも尽力した方です。競技は違いますが、私はジュニア期の指導者として一つの大きな指針を示した偉人だと思っています。
何度もここで述べていますが、勝ち負けのある場で勝つことに一生懸命にならないことは目標を定めた正しい取り組み方だとは思いません。しかし、このジュニア期にまず人としての土台作りをおろそかにしたままの指導は、スポーツそのものに取り組む姿勢がくるい、プレイヤーとしてもただ結果が出ればよいという間違った道を歩ませることになり、スポーツに携わった事が人生にとって有意義な形にならないと私は強く思います。一見、難しい形を求める道筋ように思えますが、私が信じた道で子どもたちが大きく成長することを見届けたいと思っています。